50代でひとり法人設立|名刺を作った日、“社長”という肩書きに戸惑った

【実践編】会社の作り方・運用

会社を設立したら、次にやることは何か。
私の場合は「名刺を作らなきゃ」だった。
でも、いざ作ろうとすると、肩書きに悩む。というか、戸惑う。
“社長”って名乗っていいのか? “代表社員”って書いても伝わるのか?
今回は、そんな名刺づくりの失敗談を、正直に書いてみる。


ホームページもないのに名刺だけ先に作った理由

法人設立後、まだホームページも立ち上げていない状態だった。
でも、気持ちだけは先走っていた。
「名刺があれば営業できる」「仕事につながるかもしれない」
そんな期待を込めて、名刺作成サイトでテンプレートを選び、必要事項を入力。

入れたのは、会社名・本社住所・肩書き、そして携帯電話番号。
ほかに書くものがなく、記載例に比べて、空欄が目立つ。
まるで、準備不足の自分自身を映しているようだった。


肩書き問題|“代表社員”って何?“代表”でいいの?

私の会社は合同会社。株式会社ではない。
だから「代表取締役」とは名乗れない。

登記上の肩書きは「代表社員」。でも、これを名刺に書いても、たぶん誰もピンとこない。
“社員”と書くと、「会社員?」と思われそうだし、“代表社員”って響きもなんだか堅い。

結局、私は「代表」とだけ記載した。
これが正しいのか、いまだに分からない。
でも、少なくとも「会社の責任者です」と伝えるには、これが最適だと思った。


名刺の肩書きに関する基本ルール(合同会社の場合)

肩書き使用可否備考
代表取締役×株式会社のみ使用可能
代表社員登記上の正式な肩書き
代表法的には問題なし。誤解を招かないよう注意
社長法的定義なし。社内呼称としては自由


何枚刷る?誰に渡す?名刺の“数”と“意味”

この時、私は名刺を100枚刷った。
でも、実際に渡したのは知り合い数人だけ。
営業先も決まっていないし、そもそも何を売るかも定まっていなかった。

名刺って、ただの紙じゃない。
「自分はこういう人間です」と伝えるツール。
でも、すかすかの名刺は、すかすかの自分をそのまま表していた。


名刺を渡した時の反応|“社長なんですね”に戸惑う

名刺を渡すと、決まって言われたのが「社長なんですね」。
そのたびに、なんだか居心地が悪かった。
わたしの中で“社長”って、もっと堂々としてるイメージがある。
でも私は、まだ何も始まっていない。
肩書きだけが先に立って、実態が追いついていない感じ。


ロゴがない名刺は“顔なし”だった

もうひとつ、今思えば大きな失敗だったのが「ロゴがなかったこと」。
会社名は書いてある。でも、視覚的な印象がまったくない。
名刺って、会社の“顔”でもある。ロゴがあるだけで、印象はまるで違う。

今なら、無料ツールの CANVA(キャンバ) でも十分にロゴが作れる。
テンプレートも豊富で、フォントや色も自由に選べる。
デザインに自信がなくても、シンプルなものから始めればOK。
むしろ、“らしさ”が伝わることの方が大事。

ロゴは、名刺だけじゃなく、ホームページや請求書、封筒にも使える。
だからこそ、最初にしっかり考えておくと後々ラクになる。


名刺づくりで失敗したこと

  1. 情報が少なすぎた
    → ホームページなし。信用につながらない。
  2. 肩書きに迷いがあった
    →「代表社員」では伝わらない。「代表」で妥協したが不安は残る。
  3. ロゴがなかった
    →印象が薄く、会社の“顔”が見えない。
  4. 目的が曖昧だった
    →「仕事を見つけたい」という気持ちだけが先行。戦略なし。

これから名刺を作る人へ|私からのアドバイス

名刺づくりは、ただ情報を並べるだけじゃない。
それは「自分は何者か」「どんな会社か」を伝える、最初の一歩。
だからこそ、以下のポイントを意識してみてほしい。

チェック項目内容例
会社名・住所登記と一致させる
肩書き法的に問題ない表記を選ぶ
連絡先(電話・メール)信頼感につながる
ホームページURL事業内容を補足できる
キャッチコピー何をしている会社か一言で伝える
デザイン自分らしさを表現する
会社ロゴ“会社の顔”。印象が一気に変わる

まとめ:名刺は“今の自分”を映す鏡だった

名刺を作った日、“社長”という肩書きに戸惑った。
それは、肩書きに自分が追いついていないと感じたからだと思う。
でも、あのすかすかの名刺があったからこそ、今の自分を見つめ直すきっかけになった。

次に名刺を作るときは、もっとゆっくりと。
肩書きも、デザインも、言葉も。
今度は、ちゃんと“自分の会社”としての名刺を作りたい。