50代でひとり法人設立。会社印を作るという「一生に一度の選択」

【実践編】会社の作り方・運用

「印鑑って、こんなに悩むものだったんだ」

法人設立を決めたとき、意外と悩んだのが「会社印をどうするか」。正直、印鑑なんて「とりあえず作ればいい」と思っていた。でも、調べていくうちに「これは一生に一度の買い物かもしれない」と思うようになった。

会社印は、法務局に法人登記をする際に必要になる。印鑑登録をすると「印鑑カード」が発行されて、これが法人の正式な証明になる。つまり、会社の“顔”になるもの。そう思うと、急に重みが増してきた。


印鑑の種類と役割

法人印鑑には、主に3種類ある。

印鑑の種類用途形状
代表者印(会社実印)法務局に登録する正式な印。契約書など重要書類に使用丸印(円形)
銀行印法人口座の開設や金融機関との取引に使用丸印(代表者印と別にするのが一般的)
角印見積書・請求書・領収書など日常業務に使用四角形

最初は「代表者印だけでいいかな」と思っていたけど、結局3本セットで揃えることにした。理由は、用途ごとに分けておいた方が後々の管理がラクだから。銀行印と実印を兼用すると、紛失時のリスクも大きい。


材質の選択に悩む

印鑑の材質って、こんなに種類があるんだと驚いた。

  • 柘(つげ):安価で軽い。個人印に多い。
  • 黒水牛:高級感があり、耐久性もある。
  • 牛角(白・黒):滑らかな質感。やや高価。
  • チタン:金属製で耐久性抜群。重厚感あり。
  • 象牙:伝統的で高級。印影が美しく、長持ち。

どれも一長一短で、正直迷った。でも最終的に選んだのは「牛角黒」。理由は、落ち着いた色味と、手に持ったときのしっくり感。印影もくっきり出るし、何より「一生使うなら、納得できるものを」と思った。

もちろん、価格もそれなりにする。でも、法人印は頻繁に買い替えるものではないし、ここは妥協しなかった。


実店舗かネットか

次に悩んだのが「どこで買うか」。印鑑専門店に行くか、ネットで注文するか。

実店舗のメリットは、実物を見られること。材質の質感や重さを確かめられるし、店員さんに相談もできる。ただ、価格はやや高めで、納期もかかることが多い。

一方、ネットは価格が比較的安く、種類も豊富。レビューも参考になるし、納期も早い。今回は、時間と予算のバランスを考えてネット注文にした。結果的に、品質も満足できるものだった。


文字体の選択も奥が深い

印鑑に彫る文字の書体も、意外と種類がある。

  • 篆書体(てんしょたい):古典的で格式高い。実印に多い。
  • 行書体:柔らかく読みやすい。個人印に多い。
  • 隷書体:力強く、安定感あり。
  • 古印体:素朴で親しみやすい。
  • 吉相体:縁起を重視した書体。運気アップを願う人に人気。

今回は「吉相体」を選んだ。理由は、法人設立という節目に、少しでも縁起を担ぎたかったから。見た目も力強く、印影が美しい。読みやすさよりも「印象」を重視した。


電子印鑑は…今回は見送り

最近は電子印鑑も普及してきている。PDFに押せるタイプや、クラウドで管理できるものもある。でも、今回は導入を見送った。

理由は、「本当に必要なのか、まだわからない」から。紙の書類がまだ多い業務内容だし、電子印鑑の法的効力や運用方法も、もう少し調べてからでも遅くないと思った。


まとめ:印鑑は「会社の顔」

会社印を作るというのは、思った以上に悩む作業だった。材質、書体、購入方法…どれも「一生に一度」の選択だと思うと、慎重になった。

でも、こうして納得のいく印鑑が手元に届いたとき、「自分の会社が本当にできたんだな」と実感した。法務局で印鑑登録をして、印鑑カードを受け取った瞬間は、ちょっと感慨深かった。

これから先、契約書に押すたびに、この印鑑が「自分の覚悟」を思い出させてくれる気がする。