「うちの嫁、ネイルサロンやってるけど、扶養って関係あるん?」
「ひまわり、ちょっと聞いてええか?うちの嫁、ネイリストで個人事業やってるんやけど、扶養って関係あるん?俺が法人にしたら、なんか変わるんか?」
兄・ゆうたが、夕食後のテーブルでふと口にした。奥さんはおしゃれで美人なネイリスト。個人事業としてサロンを運営しているが、保険料や年金の負担が気になっている様子。
「うん、そうね。扶養制度って、実は“働き方”と“保険の種類”によって変わるの。法人化すると、社会保険の仕組みが変わるから、配偶者の扱いも変わる可能性があるよ」
「うちの嫁は専業主婦やから、扶養に入ってるで」
弟・こうたが、静かに話に加わる。
「うちは嫁が専業主婦やから、扶養に入ってるで。保険料も年金も払ってへんけど、将来は年金もらえるって聞いた」
「それは“第3号被保険者”っていう制度なの。会社員や法人役員が厚生年金に加入している場合、その配偶者が一定の条件を満たせば、保険料を払わずに国民年金に加入できる仕組みなんだよ」
被保険者の区分と扶養制度の違い
区分 | 被保険者 | 主な対象 | 保険料負担 | 扶養制度 |
---|---|---|---|---|
第1号 | 国民年金 | 自営業・個人事業主 | 全額自己負担 | なし |
第2号 | 厚生年金 | 会社員・法人役員 | 会社と本人が折半 | 配偶者を第3号にできる |
第3号 | 国民年金 | 第2号の配偶者(年収130万円未満) | 保険料不要 | 本人が扶養対象 |
制度の詳細は、日本年金機構|公的年金制度の種類と加入する制度をご参照ください。
「法人にしたら、嫁を扶養にできるんか?」
「じゃあ、俺が法人にして厚生年金に入ったら、嫁を扶養にできる可能性あるんか?」
「あるよ。ただし、奥さんが個人事業主として収入を得ている場合は、扶養に入るには条件がある。年収130万円未満で、かつ事業が継続的でない場合など、細かい基準があるから注意が必要だね」
「うちは月によって売上に波があるし、130万超える月もあるかもしれん…」
「そういう場合は、扶養に入れない可能性もある。だから、法人化するなら、奥さんの働き方や収入の設計も一緒に考える必要があるよ」
「第3号って、今後なくなるかもしれんって聞いたけど?」
こうたが、最近のニュースを思い出して口を開く。
「この前テレビで、第3号被保険者って制度そのものが見直されるかもしれんって言うてたけど、ほんまなん?」
「うん、実はその議論、ここ数年ずっと続いてるの。第3号制度は“保険料を払わずに保障を受けられる”仕組みだから、制度の公平性という観点から見直しの対象になってる。特に、共働き世帯や非正規雇用が増えている今の社会では、“専業主婦モデル”が現実に合わなくなってきてるの」
制度見直しの動向は、厚生労働省|社会保障制度改革の方向性で確認できます。
「じゃあ、今は扶養に入れても、将来的には保険料が発生する可能性もあるってことか?」
「そう。現時点では制度として残ってるけど、将来的に“第3号の保険料負担”や“制度の廃止”が検討される可能性はある。だからこそ、今の制度に頼りすぎず、家族の保障設計を自分たちで考えておくことが大切なんだよ」
「うちは子供もおるし、嫁が働き出すかもしれんから、今のうちに制度のこと知っといた方がええな」
「そうだね。扶養制度は“今ある制度”として理解して、将来に備えるっていう考え方が大事だよ」
まとめ:扶養制度は“今ある制度”として理解し、将来に備える
- 扶養制度は第2号被保険者(厚生年金加入者)の配偶者が対象
- 第1号(自営業・個人事業主)には扶養制度がなく、保険料は全額自己負担
- 法人化して厚生年金に加入すれば、配偶者を扶養に入れる可能性がある
- 第3号被保険者制度は将来的に見直される可能性があるため、過度な依存は避ける
- 制度の仕組みを理解し、報酬・収入・働き方を含めた家族設計を考えることが重要