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家族を役員にすると節税になることもありますが、社会保険や年金の負担が思わぬ落とし穴になる場合があります。FPの視点で、どうしたらいいのか考えていきます。
はじめに
「家族を役員にすれば、節税になるんじゃないか?」
そう考える方は多いですよね。
このような話はよく聞きます。確かに、所得分散や社会保険料の調整など、うまく設計すれば節税効果は出ます。
でも、一歩間違えると家族の負担が増えたり、思ったより節税効果が少なかったりすることもあります。
だからこそ、もう一度考えてみてくださいね。
家族役員のメリットと注意点
まずはメリットと注意点を整理してみましょう。
ここでは「節税」「社会保険」「退職金」の観点で考えます。
ポイント | メリット | 注意点 | FPからの伴走アドバイス |
---|---|---|---|
節税 | 所得分散で個人の所得税を下げられる | 社会保険料が増える場合もある | 「節税できるか、自分自身で計算してみましょう」 |
社会保険 | 健康保険・厚生年金に加入できる | 被扶養者から外れるので家計負担増 | 「今の生活に無理がないか、考えてみましょう」 |
退職金 | 将来の退職金で資産移転可能 | 役員報酬や社会保険とのバランスが重要 | 「退職金まで含めて、家族のライフプランを考えましょう」 |
社会保険の落とし穴
家族を役員にすると、厚生年金と健康保険の加入義務が発生します。
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扶養控除が外れることで、家計への影響が出る場合があります
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役員報酬を高く設定すると、節税効果より負担が大きくなることもあります
だからこそ「節税になるから」と安易に決めず、シミュレーションして確認することが大切です。
具体的に考える判断例
例えばこんなケースです。
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高額の役員報酬を支払いたい場合
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社会保険料が増えるので、家計への影響を試算してみましょう
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家族が既に被扶養者で社会保険のメリットを受けている場合
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扶養から外れると生活費にどのくらい影響があるか、計算します
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年金受給中で給与との調整が必要な場合
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年金額にどう影響するか、確認することで不安を減らせます
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このように、一歩ずつ確認しながら判断することが、安心につながります。
FPとしての伴走ポイント
私がFPとしていつも考えているのは、次の3つです。
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社会保険や年金の負担を試算する
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「どのくらい増えるか」を確認することで、迷いが減ります
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節税だけでなく、長期的な家計への影響も考える
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「今の生活に無理がないか」をチェックして安心感を得ましょう
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役員報酬や退職金の設計は法人全体のキャッシュフローを考慮する
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「無理なく回る仕組み」を作るイメージです
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まとめ
家族を役員にすることで節税や資産移転のメリットはありますが、社会保険や年金の負担増という落とし穴もあります。
私自身もまだ試行錯誤中ですが、「ちょうどよい法人との付き合い方」を見つけていきたいと思います。