──『法人化って、結局なんのためにするんやろな…』
日曜の午後、いつもの公園に集まった兄弟3人。
『節税や保険といった制度の話は、あくまで人生を豊かにするための**“道具”**。目的がぼやけてきたなら、一度立ち止まって「どう生きたいか」を考えるのが一番の近道よ』
そう語るひまわりは、FP1級・宅建士の資格を持つ私自身の投影です。この記事は、制度の知識だけでなく、生き方そのものとどう向き合うべきか、彼らの会話を通じて深掘りしていきます。
1. 制度の話から、暮らしの話へ
「法人化って、結局なんのためにするんやろな…。節税とか、保険とか、いろいろ聞いたけど…なんか、目的がぼやけてきた気するわ。」
兄・ゆうたが、缶コーヒーを手にぽつりとつぶやく。
「新NISAはやらなあかんって分かってるねん。でも、ネットで調べたら『株価暴落』とか『元本割れのリスク』とか出てきて、怖くて一歩が踏み出せへんねん。会社の給料だけで、一生を乗り切れるもんちゃうって分かってるんやけどな。」
弟・こうたがうなずく。
妹・ひまわりが話し始める。
「制度って、使い方次第で便利になるけど、そもそも**『どう暮らしたいか』**が決まってないと、選びようがないのよ。法人化も、資産運用も、目的がはっきりしてる人にはすごく役立つ。でも、迷ってるなら、いま無理に決めなくてもいいと思う。」
2. 今の働き方、このままで大丈夫?
兄、ゆうたが少し遠くを見ながら話す。
「俺は今の塗装の仕事が好きやけど、体力勝負やし、高所の作業は、若い頃は何も思わんかったけど、最近は少し足がすくむようになった。『いつまでこの仕事を続けられるんやろ』って、現場でふと考える時がある。」
「俺も景気が変わったらどうなるか分からん。今の職場も、10年後にあるかどうか…。会社でもそうやけど、みんな『これが正解だ』って答えを求めてるやん?お金のことも、誰か**『こうすれば大丈夫』**って言ってくれたら楽やのにって、つい思ってしまうわ。」
「それなら、今は制度を知っておくだけでも十分よ。いざというときに、**『あのとき聞いたやつ、使えるかも』**って思えるだけで、選択肢が広がるから。」
ゆうたがうなずく。
「せやな。節税ばっかり考えて、生活が回らんようになったら本末転倒やもんな。」
ひまわり「そうね。お金の制度は、あくまで、兄ちゃんの人生の**『設計図』の一部**だから。」
3. 将来の夢と現実のギャップ
こうたが少し夢を語るように言う。
「将来は、不動産の家賃収入も考えたいねん。株の配当だけやと波があるし、安定した収入が欲しい。でも、今は仕事が忙しすぎて、物件探す余裕もないわ。」
ひまわり「それなら、前にも言った資産管理会社を作っておいて、将来の家賃収入を法人で受け取るっていうのもありよ。税率の調整や相続対策にもなるしね。」
「そうやったな…。でも、今はまだそこまで動けへん。姉ちゃんのいうとおり、制度を知っとくっていうスタンスでええかもな。いざというときに、『使える制度』として選択肢が広がるからね。」
4. まとめ:法人化は目的じゃない。「どう生きたいか」を実現するツール
ゆうたが、ぽつりと言う。
「結局、どう生きたいかって話になるな。俺は現場の仕事が好きやし、家族との時間も大事にしたい。でも、収入の柱は増やしときたいし…。」
「そう。お金の制度は、その**『どう生きたいか』**を実現するための手段なのよ」とひまわり。
「俺も、今は会社員として働いてるけど、いつかは自分で収入をコントロールできるようになりたい。でも、今はまだ準備段階やな。」
──「結局、どう生きたいかって話になるな。」
ゆうたが、ぽつりとこぼした言葉に、ひまわりは静かに微笑んだ。
『そう。制度は、ただの道具。まずは自分がどんな暮らしをしたいか、どんな人生を送りたいか、ぼんやりとでもいいから考えてみて。そうすれば、どの制度を、どう使えばいいかが自然と見えてくるから。』
この兄弟の会話は、まさに50代からの人生設計のスタートライン。そして、次は「家族編」へ。次回からは、母と妻たちも加わり、家族の暮らしに関わる制度の話を深掘りしていきます。
【大切なご案内】 この記事は、私自身の経験やFPとしての一般的な知識に基づき、お金や税金の仕組みを分かりやすく解説したものです。しかし、個別の状況によって最適な選択は異なりますし、税法は常に改正される可能性があります。最終的な税務判断は、必ず税理士などの専門家にご相談ください。この記事はあくまで参考情報としてお役立ていただき、ご自身の判断と責任のもとでご利用ください。



