50代でひとり法人設立。「バーチャルオフィスという選択肢」

【実践編】会社の作り方・運用

自宅?賃貸?バーチャルオフィス?——本店住所、どうする問題

法人設立を決めたとき、最初にぶつかったのが「本店住所をどこにするか」という問題。登記には本店所在地の記載が必須。でも、どこにするかで悩んだ。

  • 自宅:手軽だけど、プライバシーが気になる
  • 賃貸オフィス:信用度は高いけど、コストが重い
  • バーチャルオフィス:コストを抑えつつ、住所を借りられる

結局、選んだのは「バーチャルオフィス」。理由は、仲のいい知り合い以外には自宅住所を知られたくなかったから。登記情報は誰でも見られるので、プライバシーの観点はかなり重要だった。


代表者住所と本店が同じ問題

会社の場合、登記簿に代表者の住所が記載される。これまでは番地まで公開されていたけれど、最近は「代表取締役等住所非表示措置」という制度が始まり、株式会社の場合一定の条件を満たせば市区町村までの表示で済むようになった。ただし合同会社にはこの制度がないみたい、改善してほしい。

これは、プライバシー保護の観点からも大きな進歩。2024年10月から施行されていて、申請すれば番地や部屋番号などを非表示にできる。

▶︎参考:法務省|代表取締役等住所非表示措置について

ただし、申請には条件があるので、設立時にしっかり確認しておく必要がある。


バーチャルオフィスの選択肢と比較

バーチャルオフィスといっても、サービス内容や価格はさまざま。今回は、検討した3社を比較してみた。

サービス名月額費用(税込)郵便転送法人登記可備考
GMOオフィスサポート990円〜あり(週1〜)可能登記専用プランあり
レゾナンス1,650円〜あり(即日転送可)可能都内一等地住所
DMMバーチャルオフィス660円〜あり(週1)可能初期費用無料キャンペーンあり

最終的に選んだのは「GMOオフィスサポート」。理由は、登記専用プランがあり、価格も手頃だったから。郵便物も週1回転送されるし、必要なときは都度転送もできる。まだ本業が定まっていない今の状況には、ちょうどよかった。


郵便物は少ない。だからこそ、柔軟なサービスがありがたい

法人設立後、思ったより郵便物は少なかった。税務署や年金事務所からの書類は一度届けば終わりだし、営業活動もまだ本格化していない。

だからこそ、毎日転送されるような高額プランは不要だった。週1回の転送で十分。必要なときだけ個別転送を依頼できるのも便利だった。


本業がまだ定まっていない。だからこそ、柔軟な住所が必要だった

設立はしたものの、まだ本業が定まっていない。FPとしての知識はあるけれど、何を軸にするかは模索中。ブログやSNSでの発信も始めたばかりで、収益化には時間がかかりそう。

そんな中で、賃貸オフィスを借りるのは現実的ではなかった。固定費を抑えつつ、法人としての体裁を整えるには、バーチャルオフィスが最適だった。


求人の業務委託は個人事業者ばかり。何件も断られた

設立後、業務委託の求人に応募してみた。でも、ほとんどが「個人事業主限定」。法人だと断られるケースが多かった。

これは予想外だった。法人の方が信用があると思っていたけれど、実際は「個人事業主の方が契約しやすい」という企業も多いらしい。特に、報酬が源泉徴収される案件では、個人事業主の方が処理がラクなのだとか。

何件も断られて、少し落ち込んだけれど、「今は準備期間」と割り切ることにした。法人としての活動は、もう少し軸が定まってから本格化させようと思う。


まとめ:バーチャルオフィスは「今の自分にちょうどいい」

法人設立は、勢いだけでは続かない。特に50代での挑戦は、現実的な判断が求められる。バーチャルオフィスは、そんな今の自分にちょうどいい選択だった。

  • プライバシーを守りながら登記できる
  • 固定費を抑えられる
  • 郵便物の管理も柔軟
  • 本業が定まっていなくても、法人としての体裁は整う

これから先、事業が軌道に乗ったら、また住所のことも考え直すかもしれない。でも、今はこの形で十分。迷いながらも、少しずつ前に進んでいければと思っている。