第9回|家族を役員にしないほうがいいケースとは?社会保険の落とし穴

税金と社会保険

リード文

家族を役員にすると節税になることもありますが、社会保険や年金の負担が思わぬ落とし穴になる場合があります。FPの視点で、どうしたらいいのか考えていきます。


はじめに

「家族を役員にすれば、節税になるんじゃないか?」

そう考える方は多いですよね。

このような話はよく聞きます。確かに、所得分散や社会保険料の調整など、うまく設計すれば節税効果は出ます。

でも、一歩間違えると家族の負担が増えたり、思ったより節税効果が少なかったりすることもあります。

だからこそ、もう一度考えてみてくださいね。


家族役員のメリットと注意点

まずはメリットと注意点を整理してみましょう。

ここでは「節税」「社会保険」「退職金」の観点で考えます。

ポイント メリット 注意点 FPからの伴走アドバイス
節税 所得分散で個人の所得税を下げられる 社会保険料が増える場合もある 「節税できるか、自分自身で計算してみましょう」
社会保険 健康保険・厚生年金に加入できる 被扶養者から外れるので家計負担増 「今の生活に無理がないか、考えてみましょう」
退職金 将来の退職金で資産移転可能 役員報酬や社会保険とのバランスが重要 「退職金まで含めて、家族のライフプランを考えましょう」

社会保険の落とし穴

家族を役員にすると、厚生年金と健康保険の加入義務が発生します。

  • 扶養控除が外れることで、家計への影響が出る場合があります

  • 役員報酬を高く設定すると、節税効果より負担が大きくなることもあります

だからこそ「節税になるから」と安易に決めず、シミュレーションして確認することが大切です。


具体的に考える判断例

例えばこんなケースです。

  1. 高額の役員報酬を支払いたい場合

    • 社会保険料が増えるので、家計への影響を試算してみましょう

  2. 家族が既に被扶養者で社会保険のメリットを受けている場合

    • 扶養から外れると生活費にどのくらい影響があるか、計算します

  3. 年金受給中で給与との調整が必要な場合

    • 年金額にどう影響するか、確認することで不安を減らせます

このように、一歩ずつ確認しながら判断することが、安心につながります。


FPとしての伴走ポイント

私がFPとしていつも考えているのは、次の3つです。

  1. 社会保険や年金の負担を試算する

    • 「どのくらい増えるか」を確認することで、迷いが減ります

  2. 節税だけでなく、長期的な家計への影響も考える

    • 「今の生活に無理がないか」をチェックして安心感を得ましょう

  3. 役員報酬や退職金の設計は法人全体のキャッシュフローを考慮する

    • 「無理なく回る仕組み」を作るイメージです


まとめ

家族を役員にすることで節税や資産移転のメリットはありますが、社会保険や年金の負担増という落とし穴もあります。

私自身もまだ試行錯誤中ですが、「ちょうどよい法人との付き合い方」を見つけていきたいと思います。